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猫飼いの気儘な絵描き。元ピアノ弾きで腱鞘炎持ち
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先日のコウノドリ#10 おまけ1

先日のコウノドリ#10 おまけ1

初回OA以降毎日見返してるんですが

#6が下屋、#7が小松、#8が白川、#9が四宮(エピソードはいまでも小出しに引っ張ってるけど)の回で

この #10 は やっぱり、サクラの回 だったんだよなぁ

と改めて思いました

…どうしても辻さん夫婦と、高山さん夫婦の決断の行方に目が行きがちだけどね。
でも、見えてない部分でも、ベースにサクラの想いが常にある。



書いてる内に、アレもこれもとなってしまって、全部書いてると到底ブログの長さでは足りないからと、大分切り捨てたんですが
とにかく、最終回前に上げられてよかった
これで安心して#11を見届けられます


ということで、これまで以上に真面目に
主にサクラ視点で おまけ感想 
(※おまけが本文)

【#10 特に 「…!!」 と来たシーン】



●郵送で送られてくる検査結果

年齢制限も無視、問診票だってごく簡単なもので、検査前・検査後の詳しい説明もカウンセリングも無し。医院側がやるのはただ、血液検査と検査結果の送付だけ。事後に問い合わせても別の病院へ行け…って。
ドラマだから、の演出じゃなくて、ホントにこんなクリニックがあるんですね…。で、其処に検査を受けに行っちゃう妊婦さんが現実にたくさんいる。
いみじくもこの高山夫が言ったように、検査結果を郵送してくれるなんて親切だ…なんて理由で。

そりゃ、通常なら、お手軽で気軽でお手頃なこうしたモノは便利で結構なんだろうけどね
…何の問題もなく終わればね…

直前まで、子供部屋云々で赤ちゃんできて幸せいっぱいの若夫婦の日常が映し出されていただけに、検査結果を見た夫婦の驚愕・恐怖の様との落差が痛々しい


●「僕達は、どんな結論になっても高山さんの決断を支えていきます」(by鴻鳥サクラ)

送りつけられた検査結果を手に、混乱状態のまま、サクラのもとを訪れた高山さん夫婦。
サクラは彼らに、検査の内容、その結果の意味、それから今後について、穏やかな口調で丁寧に説明する。
検査結果の的中率は90%、確定させるには羊水検査をせねばばらない事、そして結果が出た後の選択(胎児に疾患があった場合、中絶をするかしないか)について。

サクラの説明に、前のめりの夫と、戸惑ったままの妻。
医師(サクラ)に質問するのも応答するのも夫、対して、高山さん(妊婦さん)は暗い表情で終始無言。
一方、話す時も、聞く時も、サクラはほとんどずっと高山さんを見つめてる。夫側の質問に答える時には夫を見るが、その後はしっかりお母さんの顔を覗き込んで、その眼をじっと見つめて、一語一語区切りながらゆっくり静かに語りかけてる。
今回に限らず、どの回を見ても、サクラって、いつもこうしてお母さん(妊婦さん)の表情をよーく見てるよね。
ま、お母さんに限らず、周りの人々皆の表情や様子をよく見てて、変化や異常に実に良く気付く人だけども。

今回の場合、まず第一に高山さんの表情の暗さや反応の薄さが心配で、その心身を気遣っているのだろうけど、
何よりも、まずは「お母さん」に寄り添ってあげたい、っていうサクラの想いがよく解る。

これが普段なら、ごく普通の、何の問題ない妊娠・出産の場合なら
お母さんに寄り添う事とお母さんのおなかの中にいる命(赤ちゃん)に寄り添う事はほぼ完全にイコールで繋がるんだけど、どうやら今回は状況が異なる。
サクラにとってはそれが辛いだろう。

両方か、あるいは、どちらか一方か。
選ぶ権利は家族にあって、サクラにはない。
彼に出来るのは、家族の決断に寄り添う事だけ。

 

●祈るしかないな… (by高山夫)

病院を出る高山夫婦。ショックで呆然としたままの妻を抱きかかえるように歩きながら夫は言う

高山夫「まさかこんなことになるなんて」
高山夫「…まだ結論が出たわけじゃない…祈るしかないな…」


高山夫の気持ち、解りすぎるほど解ってしまう。私だって同じ立場ならそう思って神様に祈るだろうし
と同時にやっぱり引っかかる
「ダウン症」はいけないモノ。だから、そうでなければ良い。今は祈るしかない。
それが多分本音だけど、そうなるのも仕方がないけれど、でも、と。
でも、赤ちゃんは悪くないんだよ?って。



●医師たちの会話 その1

四宮「しかし、きちんとした医療カウンセリングも行わず出生前診断を行う医療機関がある事は問題
   です」
小松「時間を割かれるのが煩わしい、予約も簡単に取れるし、年齢制限も無かったりする」
四宮「検査して出た結果だけを伝えて、後の判断は患者に丸投げするなんて…」
高尾「結果だけ聞かされて放り出されたら、パニックになるのも、仕方ないですよね…」


高山さん夫婦が来院した時の状況を知った医師たちの会話。
こういった会話ってのは、医療情報に疎かったり詳しくない視聴者のための状況説明も兼ねてるから、台詞が多少説明的になるのは仕方がない。私的にはむしろ、アバンタイトル以降の問題部分の内容が整理されててありがたかったけど

とはいえ、このシーンでは、話してるのは産科の男性医師(+助産師)たちだけで、アンチテーゼ的な、異論や反論、立場・性別の異なる人間からの反対意見がないからな…議論というよりはまだ会話、むしろ、ここまでの物語で妊婦さん(高山さん夫婦)が置かれてる状況の説明(主に視聴者への)、に近い。どうしてこの夫婦はこんなことになってしまったのか、現実ではどんなことが起きてるのか、っていう。

私的に気になったのはこの会話内容もさることながら、シーン冒頭と末尾に小松に対して「はい」と言っただけであとは無言で考え込んでたサクラの強張った表情。

…怒ってる。表情静かだし、無言だけど、確実に怒ってる…目が思いっきり冷えてる…絶対怒ってるよ…

多分、ため息交じりの高尾や苛立った様子で吐き捨てる四宮よりずっと、サクラの本当の怒りは静かで深い


●命を切り捨てざるを得ない、その理由

高山さん夫婦に続いてサクラが対応するのは、偶然にもこちらも出生前診断後のカウンセリングを受ける辻さん夫婦。ダウン症の確定診断を受けて、彼らは、中絶を選択。

家庭事情について話し始めた辺りから、タメ口になる明代さんに、観てて「え?」ってなったんだけど、ややあってから、ああ、なるほど、そうか、と納得。
タメ口突入=ここから中絶の理由について、本心の部分を吐き出し始めますよ、って事なのね。



●壮真クンと遊ぶ白川先生

どうやら昼食を調達に出たらしい今橋先生・白川先生。ロビーで偶然出会ったのは元患者の木村さん親子。
木村さんの二男・壮真クンはダウン症児で、当時の担当医は今橋先生。
お母さんと今橋先生が話してる間、壮真クンと遊んであげる白川先生が優しい。っつか、なんか、多分これ、アドリブでしょ?坂口さんがイイな。すごく自然。

にしても、ホントのダウン症児がダウン症児の役でドラマに出演するとはねぇ…
良く出演の了解が取れたなぁ…いくらリアリズム重視とはいえ…
そういう意味でも、スゴイね、このドラマ。
もう、二度とないんだろうなぁ、ここまでやる、ここまで出来る医療ドラマなんて
ある意味、奇跡だね。
奇跡に出会えてよかった。



●「痛くないように刺しますね」 (by鴻鳥サクラ)

羊水検査を受けることにした高山透子さん。…っつか
羊水検査って、羊水穿刺でしょ? 要は、針を刺すんだよね?それも結構ぶっとい針を。身体の外から子宮の中にまで。
「痛くないように」刺す なんて、出来るの??麻酔???(※未経験なので全く分かりません)
という感じだったのだけど、ふと
赤ちゃんが 痛くないように刺しますから」 という意味でもあるのか
と思いついて、瞬間即行で納得した
…サクラならそういうニュアンスでも言いそうな気がする


●医師たちの会話 その2

四宮「まぁ…、羊水検査を受けに来ただけでも良かったな」
小松「NIPTの結果だけ見て、次の検査は受けずに中絶って決めてしまう人もいるもんね」
四宮「たった10ccの血を採って検査すればいいって言う気楽さが、そういう親を生んでるんですよ」
倉橋「それはどうでしょう。
   私は新型出生前診断が生まれたこと、いい面もあると思います。
   出生前診断に罪悪感、嫌悪感を抱く人が多いですけど、
   親になる前に我が子の情報を集めるのは、悪いことなんでしょうか?」
四宮「きれいごと言うなよ。
   子供に疾患があると分かったら、中絶を選択する親がほとんどだろ」
倉橋「出生前診断を受けて選択する中絶について、どうしてそこまで批判的な人が多いんですかね」
小松「まぁね。中絶する理由も人それぞれだからね。
   中学生や高校生には、若気の至りとか経済的に難しいっていう理由で中絶を勧める人もいる
   からね」
向井「性教育、全然アップデートされてないですからね。避妊についてとか。もっと踏み込んで知ら
   せていかないと。
   それに性暴力などによる予期せぬ妊娠もあります。そういう人達にとっては、必要な事だと 
   思います」
倉橋「もっと生まれてくる我が子の情報を知る権利について、理解してほしいです」
四宮「赤ちゃんの情報を親が知る権利があるのは、勿論分かってる。
   だが、その情報を知ったあとで、どうするかを決めずに出生前診断を行うのは無責任だろ?」
向井「そうですね。赤ちゃんがおいてきぼりにならないように、夫婦できちんと話し合ってほしいです」



結局全部の台詞拾ってしまったよ…誰の台詞のどんな単語も捨てられんかった

四宮の現状批判とそれに対する倉崎の反論で初めてここでディベートっぽい形になりました。
医師達3人(サクラ、四宮、倉崎)の中で、ただ一人倉崎だけが女性で既婚、しかもお母さん。検査を受ける側の気持ちを代弁できるとすれば彼女だろう。
助産師・小松さんは、常に真ん中・フラットなポジションに立てる人だけど、今回の場合それをキープしてる…というか中間地点を意識的にキープしようとしてる感じ。小松さんは女だけど未婚、そして「お母さん」にはなることができない人。少なくとも出産はもう出来ない身体の持ち主。
この5人の中で、向井の台詞内容だけが若干浮いて聞こえるのは、彼女って他の4人とは立ち位置がだいぶ異なるから。向井も一応医療関係者とはいえ、彼女はサクラたちとは違って直接的な医療行為は行わない医療ソーシャルワーカー。向井も女で母親だけど、彼女はあくまでソーシャルワーカーとしての視点で意見を述べてる。だから見方が他の4人より広いけどその分浅い。浅いとは、別に悪い意味じゃなく、つまり、浅い分、サクラのような懊悩や深みに彼女は嵌らない。職業柄コレも重要なこと。


【議論の要旨】
「新型出生前診断にはいい面もある。親になる前に我が子の情報を集めるのは、決して悪いことじゃない」
「悪いとは言ってない。情報を得た後どうするか、事前にちゃんと決めずに検査を受けるのは無責任だ、って言ってるんだ」

こんな感じか。

結局、親の「親になる覚悟」や「持つべき責任」について、医師たちは議論してるんだよなぁ、ということが分かる。

私的に一番刺さったのはやっぱり、一言も言葉を発することなく黙って考え込んでるサクラの表情
医師たちの台詞の途中途中に挟み込まれるサクラの表情は、それぞれ少しずつ異なるけど、総じて重く、深く、強張ってて、やっぱり――怒りの色が濃い
っつか、はっきりきっぱり、怒ってる…怒ってるよね…「医師たちの会話〜その1」 の時のサクラより、ずっと激しく深く静かに怒ってる…目が、冷える通り越して凍ってる…只無言の後ろ姿だけでも怒ってるのが判る…

では、サクラの感じてる「怒り」って、何の怒りなのか?

色々あるだろうけど、やっぱり根本は、お母さんに寄り添うだけしか結局は出来ない(出来ていない)自分自身への怒り、だろうか…無力な自分自身への苛立ちなんだろうか

ついでに言うと
このシーンでのサクラの 『無言』 が、終盤のカンファレンスのシーンでのサクラの 『雄弁』 を際立たせてるんだよね
この部分一つとっても、演出・脚本が、凄く上手いなぁと思った


●母の想い

透子母「でもね…この子は諦めた方が良い」
透子 「…なんで…?」
透子母「透子が苦労するところ、見たくない」


高山さん夫婦の羊水検査の結果はやはり、ダウン症。
結果を受けて、高山夫婦宅に夫側両親と妻側両親が集まって家族会議。…というか、コレはもう一族会議だな。やっぱりこうなっちゃうのかぁ…こんなのあるのは今じゃウチみたいなド田舎だけだと思ってたんだけど。

産まない方が良いという夫側の両親。透子さんは俯いたまま何も答えられない
娘のそんな様子を見た透子さんの母は、透子さんと二人だけにしてもらったうえで透子さんと向き合う

透子さんを育てた自分の苦労話と同時に母として味わった喜びをぽつぽつと娘に語る母。
でも、最後はやはり「諦めた方が良い」との言葉。

これがやっぱり母の本音、なのだろうか。
先々苦労するのが判ってる、から?
苦労する娘の姿を見たくない、から?
…これもまた、母の想いだろうけど

それとも…?
と思ってしまうのは、ラストまで観終えた人間だからかもしれないし、赤ちゃんと透子さんを何とかしてあげてよ〜と願う心故かもしれないし。

ただ、
言い終えて最後に視線を逸らせたあたりに、母の、母親として・お母さんとして・人としての逡巡がある
我が子可愛さで別の命を切り捨てる、そのうしろめたさ。しかもその切り捨てる命は自分自身の孫。

ここでも 『命の選別』 が起きている







その2へ続く
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