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猫飼いの気儘な絵描き。元ピアノ弾きで腱鞘炎持ち
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最終回のコウノドリ #11 〜おまけ その2

最終回のコウノドリ #11 〜おまけ その2

■サクラ「…(やっちゃった…てへぺろ☆(・ω<)」  
  四宮「…(騙しやがった…コイツ…!(怒)」

四宮が、己の行く末について悩んでいるのを察したサクラは、四宮をある場所へ連れ出す。
行く先は、とある呑み屋。待っていたのは、学会参加でちょうど上京中だった荻島センセ。

荻島の顔を見た瞬間のサクラと四宮の表情がねぇ!
サクラってば、いかにも「してやったり!」って感じのイタズラっぽい笑顔でさ。すっげーカワイイの。
で、四宮の表情の渋さってば、「はめられた…っ、サクラのヤツ…!」ってね。すっげー嫌そう(笑)。
あまりに対照的で笑える(笑)
やー、良い関係だね!この二人!



■荻島センセは サクラと四宮の過去を知る男

荻島「おいおいおいおいおい!昔のかわいい四宮は何処行っちまったんだよ!なぁ?鴻鳥!」
荻島「ほら!あいかわらずジャムパンばかり食ってるんだろう?肉食え!肉!!」
荻島「四宮…酒が足りないんじゃないのか…?おい、ほら!飲め!飲め飲め!な?」

荻島センセ、面白い!最高!まさかこーいうキャラだったとは!#1見てた時は想像もつかんかったよ!(爆笑)
新米産科医時代のサクラ&四宮と先輩医師・荻島センセがどんな雰囲気だったのか、この辺りの会話だけで結構想像できて笑っちゃうな。っつか。
…番外編でその辺、見せてくれても、いいのよ?




■医師が全てを背負うのは、無理がある

当然のことだよね。
人は誰も自分一人の重さを背負うので精いっぱいだ。いや、それすら背負いきれずに悩んだり苦しんだりする人が多い。他人の重さまで背負ったら、負いきれずに両方潰れてしまう。
#8でサクラも言った。医者だって普通の人間だって。
そして、普通の人間は、其処まで強くはないよ?

思えば、2期#1の時点で、四宮はサクラに言ってる
「医師一人で出来る事には限界がある。背負い過ぎるな」 って。
医師は神様でもスーパーマンでもない、って今橋センセも言ってたし 綾野さんもインタビューでそう言ってたね。

全てを医師一人で背負うのは無理だと、四宮が今改めてそう言うのは、
直接的には、能登の病院で父の代理で手術をしてみて、その大変さを身にしみて理解したからだし
アレを通して父の生死を知って、それに因って医師が背負わねばならない荷の重さを改めて知ったから。
間接的には、本音では父の後を継ぎたいが、その一方で自分がそうなったら(父のような立場に置かれたら)…と怖れているから。

多分この時点で四宮は能登に行く意志が半分くらいは固まっている。
そして、多分サクラはそれに気付いてる。
だから、その背を押してやりたいと思ってる。



■急いで行きたいなら一人で行きなよ 遠くへ行きたいなら皆で行きなよ

荻島「何をそんなに怖がってるんだ。しかめっ面はお前のホントの顔じゃないだろ?
   何処にいても、俺達医者はいつでも、『生と死』 その狭間に立ってるんだ
   どれ程医療が発展しても全ての命を救う事は出来ないんだから」
荻島「同じ産科医。場所は違っても心意気は同じ。
   何処へ行っても、一人ぼっちで戦わなきゃいけないなんて、そんなことはないんだ」


ああ、荻島センセも「先生」なんだなぁ、と改めて実感する台詞の数々。
研修医時代からサクラ達にとっては良き先輩だったんだろうなぁって。

サクラにとっての良き先輩っていうと、今は今橋先生を思い出すけど。
荻島センセのような人って、今橋センセみたいな人とは、超・ウマが合うか、とことん合わないかのどっちかだと思う(笑)



■今橋センセって、ホント 『人タラシ』 だわぁ! (※褒め言葉)

白川「俺――、先生の一番弟子になれましたかね…?」
今橋「白川先生は、僕の 『弟子』 じゃない。頼りになる 『パートナー』 だよ」


後ろでこの様子をずっと見てた新井センセが、笑いをかみ殺すような表情してるのが個人的にツボ
「ああー、白川センセってば、喜んでる喜んでる…ふふっ(笑)」って感じだよね、あの表情(笑)

あと、も一つ、細かい部分だけど、シーン冒頭、保育器の中の赤ちゃん診てた今橋先生が、保育器の扉っていうの?あの保育器の側面についてる中に腕突っ込むための小さな丸いドア、アレを閉める仕草が地味にカッコいいと思った。っつか、リアル。手使わずに肘でこう、クイッて閉めるの。



■…実はイイ人?

仙道「寝かしといてやりなよ」
加瀬「部長…」
仙道「……面白いよね…ガッツだけで何とかなってけるものなんだ」
加瀬「
…(笑み)」
仙道「産科には返しませんって、言ってみようか?…今橋先生がどんな顔するか、見たくない?」
加瀬「…あの人の怒ってる顔、見たくないっすね…」
仙道「加瀬君って、つまんないな!
(楽しげ)」
加瀬「…すいませんね…(憮然)」

普段の救命控室って、こんな風なんだ、というシーン。下屋寄り目線で見ると非常にイメージ悪い仙道部長。でも別縫悪い人じゃないんだよ、って。(ま、ちょっと意地悪かもしれんが)

仙道センセの台詞と加瀬の笑み。
下屋が救命の中で自分の居場所を確実に築いている証拠だね。

にしても、あの加瀬先生をして 「怒らせたくない」(※加瀬センセの表情がマジ) と言わしめる今橋先生って…
実は、「普段は優しげでも、マジで怒るとペルソナ一怖い人」って皆に認識されてるんじゃ…

…ま、案外そんなモンだけどね。普段穏やかで優しげな人って、一度本気で怒ると…ホント恐ろしいよ?(笑)



■『オランダへようこそ』

長くなるんで内容書き起こさないけど。
これ、障害を持つ子の育児についてだけ書かれた詩じゃないよね。
やりたかったことを失敗した人、望んだ人生送れずにいる人、心ならずも不本意な生き方を強いられてる人、そういった、思い通りの生き方が出来なかった人々皆に寄り添ってくれる、そういう人すべてに読んでほしい詩だ。

「私だってそちらに行くはずだったのに」「痛みは決して消えない」 
そうなんだよね。ホントに。

あと、このシーン、詩の朗読に合わせて
#1,3で出てきた産後鬱の佐野さん家族が出てきたり (彩加ママ笑顔。佐野パパ、ちゃんと『パパ』やってる)
木村さん家族がまたまた出てきて佐野さん家族と街角ですれ違ったり (イタリアへ行けた人とオランダへ行ってしまった人の邂逅)
18トリソミーのナオト君(1期#10他)と森口さん夫婦が出てきたりと (ナオト君元気で嬉しい)
前作からずっと見てる視聴者は「ああっ!」「おお!」って思うシーン満載でした。
嬉しかったけど、同時に、ああ、ホントに最後なんだなぁ、完結しちゃうんだなぁと寂しさがひしひしと…




■「…働けよ」「…うん」 ←ニートに厳しい二人の突っ込み

産休終えて復帰の、若手助産師・真弓ちゃん。1期最終話以来だなぁ。まさか続けざまに二人出産してたとは。
っつか、真弓ちゃんの声が「トットちゃん」にしか聞こえないんだが!(笑)

サクラ「お子さん、大丈夫なの?」
真弓「心配ありません!たっクン、家にずっといるんで!」
サクラ「…ああ……たっクン…
(乾いた笑い)」
小松「……働けよ (笑顔でボソッと)」
サクラ「…うん (笑顔でボソッと)」

真弓ちゃんの彼氏(っつか旦那になったのか?)は売れないミュージシャン。
数カット挿入されてた1期の回想シーンが笑った。『♪君は食べづわり〜!』(笑)
っつか、ウチにずっといる…って、まさか、たっクン…ニート化?…っつか、それ…ヒモなんじゃ…いや、専業主夫…?

あと
真弓ちゃんをペルソナに呼び戻したのが小松だって知った時のサクラの声と表情がね。
基本的に微笑ってるんだけど、それだけじゃなくて。これまた、何か悟って、何かを察して、何かを予感してるような、絶妙な表情なんだよね。
この時点で、多分、サクラは小松との別れを予想してたのかもしれないよね。前話ラストで、小松がサクラに何か重要なことを言いかけて言えず終いになってるの、サクラは覚えているだろうし。




■これが最後の手術シーンになるんだなぁ

武田のお産は難産の気配濃厚。
サクラは帝王切開へ切り替える事を決断、武田さんへそう告げる。

サクラ「武田さん、帝王切開に切り替えます。よろしいですか?」
武田「お願いします」
武田夫「や、そんなすぐ決めて…」
武田「赤ちゃん苦しいの嫌だから。鴻鳥先生、お願い」


さすが医療従事者、武田さんも了解早い。夫がビックリしてます
サクラの方も、告げ方に普段より遠慮がないね?言い方も表情もどこかいつもよりきっぱりしてる。
お互い医療に従事する者として事情も状況も解ってるからね。しかも身内だしね。



■クライマックス数分前

武田さんは帝王切開で無事出産。
サクラのオペシーン、久々だったなぁ、コレが多分最後かなぁ、と思うと…寂しさが(涙)。

除脈で生まれた赤ちゃんは産声を上げないまま白川と今橋の元へ。
その裏で、サクラが武田に「ちょっとお腹気持ち悪いですよ」って言ってるんだが、その時点で既にサクラは異変を感じて止血のために子宮圧迫開始してるんだよね、多分。画面写ってないけど。お腹押してるから気持ち悪い。1期#6を思い出す。
で、その直後にサクラは手を止めて顔を上げ、四宮と視線をかわす。ここも1期#6と同じ
その表情は既に二人とも強張ってる。
音楽の雰囲気もココでガラッと変わる。これが場面急変フラグ。これも…以下同

一方、今橋と白川の処置で無事元気に産声を上げることが出来た赤ちゃんに涙ぐむ武田

武田「助産師なのに…柄にもなく泣けて来ちゃった…」
サクラ「いいんですよ。武田さんが、自分は助産師だからしっかりしなきゃ、ってプレッシャー感じて
    頑張ってるの、皆解ってますから」


武田の顔を見つめるサクラの顔は温かい
でも低い声で呼びかける四宮に向けたサクラの顔は一転して険しい

四宮「…サクラ」
サクラ「ああ…分かってる…!」


小声で言葉を交わす二人の表情は緊張状態。
二人とも小声なのは、武田を気遣って聞こえないようにしてるのだろうけど。

でも、嬉しげに親友の赤ちゃんを抱いた小松は背後で起きてることに気付いてない。白川と今橋の関心も元気に産声を上げる赤ちゃんの方に向いてる。この時点で緊急事態に気付いているのは多分執刀医のサクラと第一助手の四宮だけか?
(前川センセはどうだろ?それと倉崎は気付いてるのかな?研修医時代の下屋は気づいてなかったけど)

そして赤ちゃんを武田に見せようと振り返った小松が見たのは大出血による血の海。愕然とする小松、白川、今橋。
ここで状況は一気に緊迫。
っつか、実際ホントにあんなふうになるの…!?うわあああ…床が一面真っ赤じゃないか…恐ろしい…




■医療用語は魔法の呪文か早口言葉か

『産科危機的出血』 を宣言 、『マッシブ・トランスフュージョン・プロトコル
(大量輸血プロトコル)』 発動、 ビー・リンチ(B-Lynch)、 Aラインを取る(※ドレスの型じゃない)、 子宮型羊水塞栓症、ポンピングで輸液(※1期#6の船越センセ)、サチュレーション(酸素飽和度)低下、ノン・クロスで輸血、ショック・インデックス1.5超え、クリティカル・コール、クリティカル‐Cの応援要請、DIC (播種性血管内凝固)…

この魔法の呪文にも思える用語の数々↑ 字幕出たのは「羊水塞栓症」だけだった…(笑)
OA観てても一度聞いただけでは全く意味不明。っつか、咄嗟に脳内漢字変換(または英語変換)出来ん!全部カタカナのまま頭の中を流れてく!(笑)
特に 『Massive Transfusion Protocol』 …コレ、あのハイテンポ展開の中で噛まずに流れるように叫んだ綾野さんはスゴイなと思った、OA中(笑)。ちなみに私は放映終了後にこの言葉、ググった(笑)

そういや、こういう大出血シーンでサクラが良く言う「ビーリンチ」って、なんやねん?

【ビーリンチ=「B-Lynch術」】
分娩時の大出血に対応するための開腹止血法。子宮の左右をたすき掛け状に縛る(※裏表ともクロスにはしない)ことで圧迫止血する。ちなみに、B-Lynchっていうのは、この止血方法を編み出したお医者さんの名前。
要は、子宮を残しつつ出血を止める為の術法なんだね。

あと、1期の時はペルソナの緊急院内呼び出しコールは『コード・ブルー』だったけど(1期最終話)、今季から『クリティカル・コール』に変わったんかね?それとも、あれとは別の意味なの?




■色付き音付き大量出血シーンがリアルすぎます…

CM明けで映った武田の顔は血の気を失って既に真っ白。意識も朦朧。動きは緩慢で、顔の表情も弛緩し始めている。そして大あくびがリアル。短時間の大量失血により血圧が下がって末梢血液量が不足し、体温と体内の酸素飽和度が下がるため、意識が薄れ眠くなる。冬山遭難時に眠くなるのと同じ。そのまま寝たら死ぬぞ!ってヤツ
にしても、そんな状態でもサクラ達の会話から出血量について冷静なコメントしたり…医療従事者って、ある意味怖いだろうな。自分の身体の状況を十分解っちゃう分。

四宮「サクラ、血液が全く凝固しない。これは…」
サクラ「ああ、子宮型羊水塞栓症だ…!」

「子宮型羊水塞栓症」

シーズン1の#6でもやったアレですよ…。あの時も画面から見てびっくりするほどの大出血だったんですが、今回はそれにも増して怖い、ぞっとするような量の大出血。まさに血の海。

1、まずは(手で)出血場所を圧迫止血
2、「バルーンカテーテル」
3、それでダメならば 「ビーリンチ(B-Lynch術)」
4、それでもダメなら最終手段 「子宮全摘」 
※出血場所である子宮そのものを全摘出することで止血する

…っちゅー流れになるのか。これまでの話観た感じだと。勿論、同時進行で輸血・吸引しながら。
1期#6…加瀬センセが 「呼ばれてないけどジャジャジャジャーン!」、サクラ&四宮の 「とっても!」 の回だったな…懐かしい(と、遠い目) 
…もうあんな感じの3人の掛け合いは二度とないのかなぁ…(涙)

にしても、あの大出血シーン…
原作漫画で何度も読んでた筈のシーンなのに、実際TV画面で見るとなんであんなに怖いんだ…色と音が付いただけでこのリアル恐怖感。アレ、実際に自分の眼で目の前で見たら多分私、倒れる自信がある。




■最後の奇跡

生まれたばかりの赤ちゃんをいつまでもオペ室に置いとくわけは行かない。今橋に促され、何度も後ろを振り返って、後ろ髪引っ張られつつ赤ちゃんを連れてオペ室を出ようとした小松。しかし、NICUから駆け付けた新井先生が小松の気持ちを察して赤ちゃんを引き受けてくれたことで小松は危機的状態の親友・武田の元へUターン。
新井先生ナイス・フォロー!ここで既に、私的にググッと来てるのに。 

後を新井に任せ、赤ちゃんを無事にNICUへ送り出して手の空いた白川と今橋が、術中(止血中?)で手が離せないサクラと四宮の為に次々にフォローに入る。ポンピングでの緊急輸血(輸液)の手伝いから、ライン取り、輸血部への緊急連絡まで。ここで更にググググーッと泣きそうになる。

更に
「クリティカル・コール!!救命呼んで!!」
サクラの指示で、オペ室から救命に応援要請。それに応じてERから下屋と加瀬、吾郎が走って加勢に駆け付ける。

うわーー!何だこの緊迫感とテンポ感、充実感。面白い!面白いんだけど!
この一連の流れ見てて、
全員集合だ!最終回なんだ!これが最後なんだ、次はないんだ!ホントにこれで終わりなんだ…!  って実感してさぁ。
画面じゃどんどん緊迫度が増していってるのに、こっちは泣きだしそうになってました…

サクラと四宮が向かい合って一緒にオペしてるとこなんて、もう二度と見られないんだ!(涙)…とかね…






その3へ
最終回のコウノドリ #11 〜おまけ その1

最終回のコウノドリ #11 〜おまけ その1

最終話前半は、透子さんの不安と、それに寄り添うサクラ達
後半は、武田の出産と緊急事態、その決着

という感じの構成だった最終話。
所々にペルソナメンバーそれぞれの想いや関係性、過去エピソードが挟まれてて
ラストは、去る者残る者、皆それぞれがそれぞれの場所へ、決意も新たに旅立っていくという感じ。
形の上では「残る」こととなったサクラだって、新たなステージへと飛び立つのは同じ。



「一人じゃない」 「傍にいる」 「ここにいる」 「一緒にいる」
そんな創り手側のメッセージを強く感じたお話でもありました。
「人は必ず、誰かが傍にいて 誰かの傍にいる」
#9の、サクラの言葉を改めて思い出したり、ね。



それから
特に、3つの同期二人組の関係性について、現在過去未来がフォローアップされてた気もする
・サクラと四宮
・下屋と白川
・小松と武田

この3組ね。



では、2期最後のおまけレビュー

【#11 特にググッ!と来たシーン】


■サクラ、驚愕する
 その1
 
中国人観光客(しかも臨月)の緊急搬送→出産。担当するのはサクラと小松さん。
救急搬入口でストレッチャーに乗せられたままパニック状態で泣き叫ぶ妊婦さん。話すのは勿論中国語。つきそう旦那さんも中国語しか話せない。
小松「あー、ソーリーソーリー、アイ・キャント・スピーク・チャイニーズなのよ!ごめんなさいねー!」
と、ジャパニーズイングリッシュ丸出しで旦那に応じる小松と
サクラ「お母さん!赤ちゃん元気です!大丈夫!一緒に頑張りましょう!」
と日本語で、あくまでいつもの様に妊婦の顔を真っ直ぐ見て声をかけるサクラ。
 
LDRに運ばれた後も、ジェルネールを取る・取るなで分娩台の上で妊婦さん大暴れ。ネールつけてると指先挟んで酸素飽和度を測る機械(パルスオキシメーターというらしい)が付けられない…のだけど、なんせ言葉が通じないと説明も困難でね…
妊婦「●×△ま△k□j×◇う◎!」(訳:せっかく銀座でつけて貰ったのにぃ!)
小松「…何だって?」
サクラ「解らないですね…」

と、お手上げ状態。
英語の医学論文普通に読みこなし、医学書(勿論原書)バリバリ読み込んでたサクラ先生(2期#5参照)も、さすがに中国語は範疇外の様子。
其処へ、流暢な中国語と共に倉崎センセ登場。

倉崎「(中国語で) なら、指を切り落とすしかありませんね
妊娠中は何が起こるかわからない。それを承知で旅をしてたんでしょ?」


固まる中国人夫婦。サクラも小松も呆気にとられた顔 

サクラ「……倉崎…中国語しゃべれるの…?」
倉崎「
(平然と) はい。 …訳は聞かないでください」
小松・サクラ「……了解」「……うん、わかった」

謎の女・倉崎、再び! 果たして倉崎の過去に一体何が!?(笑)
そして、サクラと小松さんのシンクロが…(笑)

にしても、妊婦のマタ旅に、旅行先での緊急搬送と出産、お産時のネールかぁ。
うわぁ、すごくあり得そうな事態だ…っつか、これからどんどん増えていきそう、こういうケース。


■チームペルソナ 一致団結!

引き続き中国人妊婦のお産。
倉崎という通訳を得てサクラたちは再始動。

小松「よし!赤ちゃんの生まれ方は万国共通!頑張って行こ!」
全員「はいっ!」


わーい!細かい部分だけど、こーいうトコも好き!
すごくコウノドリっぽいよねー!



■サクラ驚愕する その2

まだまだ続く中国人妊婦のお産。
どうにもうまく下りてこない赤ちゃんに、難産の気配?…って辺りでタイミングよくやって来たNの先生。
その顔を見たサクラたちは全員びっくり。
サクラなんか  ( ゚д゚)ポカーン  ←まさにコレ

サクラ達「え?」
新井「
…(チラリとそちらを見て無言で会釈)」
サクラ達「えええっ!? (と全員新井を凝視)」
サクラ「あ、新井先生…なんで…???」
新井「話はあとで。モタモタしないでお産に集中して下さい」
小松・サクラ「…はい」


クールにぴしゃり!の新井センセと、叱られて素直に「…はい」と声揃えるサクラ&小松がツボ
新井センセ、すっごく「らしい」なぁ!それに、サクラと小松さんのシンクロユニゾン再び(笑)
いいなぁ!こういうの好きだ。すっごくコウノドリっぽいなぁ!

にしても、嬉しい!最終話冒頭で復帰シーンが見られるなんて。
新井センセ、お帰りなさい! …返す返すも復帰回が最終回ってのがまことに以て惜しいけど!
でも、新井センセ、いい表情するようになったなぁ。#8でも感じたけど。
赤ちゃん見つめる新井センセの顔、すごく優しくて温かい。相変わらず美人だけど、2年前と比べて目元の険が取れたというか、雰囲気丸くなったね。
そして、そんな新井センセの様子を背後からそっと見つめるサクラの顔もすごく優しい…



■同期の二人 …の片割れ達の会話

下屋「同期の前向きな旅立ち…… 応援するしか、ないですし」
下屋「ただ――私が医者になってから――ううん、学生実習の時から、アイツが傍にいなかったこと、
    ないんで」
サクラ「……うん…そうだね――」


学生の時からアイツが傍にいなかったことが無い
それは、下屋と白川の同期の二人だけの話じゃないね。
サクラと四宮も、同じだ。

ずっと一緒で、常に傍にいるのが当たり前だった二人。

サクラの返答までの間が趣深いよね



■別れの予感?

下屋「鴻鳥先生は、ずっと、ペルソナにいますよね?」
サクラ「……」


そう訊いてしまったのは、下屋自身が白川との別れに寂しさを感じているから
誰かに――サクラには、ずっとここにいてほしいと願っているからだね。
でも、サクラはそれに答えない。答えられない。
このカットのサクラの表情も、絶妙だなぁ…

先々自分がどうなるかなんて誰にもわからんよ。
明日自分が何処で何をやっているか、数年後自分が何処にいるのか…生きているのか。
そんなの、分かる人、いる? 確実に知る方法なんて、ある?
ましてや「ずっと」だなんて。

…ま、創り手側の視聴者焦らし作戦なのかもしれんけど(笑)。



■大切なのは、見守ること

ダウン症児を生むと決めた高山透子さんに関するカンファレンス

医師たちの意見は
・産むと決めても次は産んだ後の心配が…
・初めての赤ちゃんってだけで未知との遭遇、疾患ある赤ちゃんだと更に不安
・特別に何かをするよりも、今は肩の力を抜いてもらう事が大切 …云々云々

サクラ「特別な子供の育児をするって意気込みよりも、『赤ちゃんが可愛い』 って気持ちが湧いてくる
    ようなサポートをすることが大事かと思います」
サクラ「大切なのは、見守ることだと思うので」


善意の押し付けは、逆に相手を追い込んじゃう場合もあるしね。
…口で何かを言っても、届かない時もあるからね。
そんな時、外野の人間ができるのは、只見守る事だけ。
見守ってもらえてることが、時に救いや助けになる。
…まずは、見守ってもらえてるんだ、サポートしてくれる人がいるんだ、一人で悩まなくても良いんだ、と当人に気付いて貰えさえすればね。



■同期の二人 小松と武田

小松「助産師になるって決めた時にね、約束したんだ。お互いの赤ちゃんを取り上げよう、って」
武田「そ。私の赤ちゃんは、絶対、小松にしか取らせねぇ、って」
下屋「いいですよね…同期って」


って言う下屋が、何処となく寂しげ。

「お互いの赤ちゃんを取り上げる」約束。
自分の仕事に誇りを持っているからこそ言える台詞だし、相手を信頼しているからこそできる約束だよな。
小松と武田ってこういう関係性なんだよ、というシーン。単なる友人じゃない、仕事を通しての仲間で、同業の親友。親密な関係であっても、あくまで、『助産師という仕事』がそのベースにある。
そういや、武田って、小松さんが、子宮全摘してもう自分の子供を産むことが出来ない身体になったってこと、知ってるんだっけ?
…ま、知った所で武田さんなら、「それがどうした?この子はアンタの子でもあるんだろ?」 とか言いそうだ。

しっかしさー
「私もそうならないとは限らない」
って…うわぁ…、武田さん、自分でフラグ立てちゃだめだよー!



■同期の二人 サクラと四宮

四宮「サクラ…花、ありがとな」
サクラ「ううん。何も手伝えなくてごめんね?」
四宮「解ってる。休んでる暇なんかないだろ」


サクラの「ごめんね?」ってのが、なんか、可愛い(笑)

あの大変な時(#10参照)にもかかわらず、ちゃんと四宮父の葬儀に花を贈っていたサクラ。…流石サクラ先生…やることにそつが無い…明代さんや透子さんの事で大変だった頃なのに…
サクラ的に、もっと心身に余裕があったら四宮の傍に寄り添ってあげたかっただろうし、色々お手伝いもしたかっただろうし、せめてお線香の一本も上げに行きたかったのだろうけど。…まぁ、四宮がいないのにサクラまでペルソナ離れるわけにゃいかんよな…
そんなサクラの思いは四宮も承知してる。自分がペルソナを離れたことで一番負担をかけてしまったのはサクラだってことも。「休んでる暇なんてないだろ?」って台詞に、すっごく理解の色があったね。
その間も、助産師や看護師たちから次々にお呼びがかかるサクラ。少しでもサクラの負担を軽くしようと、四宮が代わってそれに対応する。

サクラを視線で制してLDRへ出ていく四宮。その背を無言で見送るサクラ。その時のサクラの顔がまた、何とも言えない複雑かつ絶妙な表情でねぇ。
父を亡くしたばかりの四宮への気遣いの色と同時に、またしても、何かに気付いて、何かを察して、何か解って、何かを悟って…っていうね…



■夫は妻が心配 でも妻はもう子供が最優先

ダウン症児の保育実績のある保育園を探してる透子さん。
ってか、保育園って…ああ、今は其処まで気を回さずにまずは元気な子を産むことだけ考えて…なんちゅう一般論は今の透子さんの耳には入らんのだろうな…。確かに先々考えれば心配だろうし、色々考えざるを得ないんだろうな、とは思うけどさぁ。
不安で心配だから色々調べて更に不安が増して…って言う悪循環。透子さん、頭の中でグルグル状態。どうにも頭でっかちになってそうです。ネット社会の情報過多の悪い面が出てる感じ。

で、そんな様子を見てる夫は、むしろ透子さんの方が心配。
子供の頃見たダウン症児のお母さんが皆疲れて見えた、って記憶が夫にとっては刺さった棘なんだな。マイナスイメージ。透子さんのことが大切だから、あんな風にさせたくない。まだお腹の中で今実際目に見えない「赤ちゃん」より、どうしても、今目の前にいる「透子さん」の事を案じちゃう。

母性が目覚めた女は、全てにおいて子供最優先(夫よりも)となるもんだけど。
本来なら誰よりも信頼し一番頼りにしたい『夫』が、自分の様に赤ちゃん最優先で物事考えてくれない。透子さんにとって、それはギャップだ。焦れったいだろう。不安も不満も増し増し〜だろう。
ペルソナでのカウンセリングで、
「たとえ夫と別れてひとりになったとしても、私はこの子をちゃんと育てなければ…」
なんて悲壮感すら漂わせてそう言ってるのを見ると、
駄目だよ〜頑張りすぎ〜肩肘張りすぎだよ〜もちょっと力抜きなよ〜弱音吐いても良いんだよ〜今からこれじゃそれこそ鬱になっちゃうよ〜…って心配になっちゃうな。自分で自分を追い込み過ぎだよ…



■同期の二人 下屋と白川

白川「あ、分かった、お前、寂しいんだろ?」
下屋「…はぁ!?」
白川「俺がいなくなるのが寂しいんだよな!?」
下屋「ふざけんな!寂しくなんかないよ!!」


とまぁ、結局、いつも通り憎まれ口の応酬で終わってしまった同期の二人。
去っていく下屋の背を見送る時の白川センセの表情がね、もう――
「やっちまった感」満載でさぁ…。

ああー、失敗したよねぇ…白川センセ (笑)

最後くらい、もっと素直におなりよ。出てってから後悔しないようにさ。
ま、ソレは下屋にも言えることだけどねー



■『知らないこと』 が一番相手を傷つける

サクラの勧めでダウン症児の母子が集まる施設へとやって来た透子さん夫婦。お供は向井と小松。
ここで出逢ったのが前話でも出てきたダウン症児の親子、木村さん家族。
そして始まる、子育てママ女子会。

木村「みんな知らない。知らないから色々言われることが勿論ある。それこそ親戚や友達にだって傷
    つけられることはある。
木村「けどね、壮真が元気にこうやって遊んでることが大事。どんなに辛いこと言われるより、あの子
    が元気ない事の方が辛いもの」


知ってほしい。まず最初に、見て、知って、それから解ってほしい。
受容を求めるのは、その後の話、なんだね。




■あんた一人じゃないよ

高山パパと木村パパ、お父さん二人の会話も良かった。
確かにありふれた一言なのかもしれないけど。
でも、迷ってる時、分からない時、困ってる時、大変な時
こんな風になってるのは自分だけじゃない、って直接言葉で(←コレ重要!)言ってもらえるのは何よりの助けだ。
それも、自分と同じ立場の父としての先輩から、だものね。

この世から性の違いが無くならない以上、性毎の役割の違いもなくならないんだろう。
だからこそ、同じ性・同じ立場にある人じゃないと言えない言葉ってのも必ずある。
高山さんと小松達の、ママ女子会のもそうなんだろうけど
単純に、同性からの言葉の方が受け入れやすく理解しやすい(場合も多い)からね。



■案ずるより産むが易し

見学を終えた高山さん夫婦に、小松と向井がアドバイス。

向井「不安になりすぎずにドーンと構えて。そしたら意外と、でっかい嵐が来てもどうにかなるもんで
    す」
小松「傘を忘れて家を出ても、意外と何とかなるもんだしね」
透子「…はい」


ホント、そうだよね。
いや、お産やら妊娠やらに限らず、どんなことでもね。
遣る前からからビビってたら何もできない。



■赤ちゃんが気持ち良いお腹は 『良いお腹』

本日の透子さん、定期検診中。
エコー画像見てくすっと笑う透子さんに、サクラは「?」

サクラ「…うん? どうしました?」
透子「この子、元気だなぁと思って…
(嬉しそうな笑顔)」
サクラ
「(笑顔になって)…そうですね。高山さんのお腹、良いお腹ですね」
透子「え…?」
サクラ「羊水の中で、赤ちゃんが気持ちよさそうに動いてますよ」

「良いお腹」
かぁ。産科のセンセってこういう褒め方するのかぁ。(笑)
表現面白い。視点も面白い。サクラなら普段から普通に言いそうだとも思うけど。
でも、透子さんにはホッとする言葉だろうなぁ。サクラにそう言われて、改めてエコー観る透子さんの表情がホント、つかえがとれたというか、重いものが消えた感じで。赤ちゃんの事が愛しい!って素直にそう思ってるのが判る。
これも、サクラ曰く 「赤ちゃんが可愛いって気持ちが湧いてくるようなサポート」 なんだね。

個人的には、透子さんだけじゃなくて、サクラもホント嬉しそうに微笑ってるから、なんだか私も嬉しい。前話が辛かったからねぇ、ホント…



その2へ
今日のコウノドリ 〜#11 最終回

今日のコウノドリ 〜#11 最終回

おわっちゃったよ〜!



泣いたよ!
そんでもって、最初っから笑ったし!

それだけじゃなくて
ドラマとしてもとても面白かった!

何というか…
2期の中では一番コウノドリっぽいお話だったかもしれないね。

優しさと、厳しさと、涙と、笑い、シリアス・緊迫感その他諸々…
バランス良く全部一緒に味わえる濃密な一時間。(今回は+15分)
詰め込み過ぎでちょっと駆け足気味の展開だったけどね〜。

個人的には、
ここんトコ辛い展開続きで、ずーっと表情沈んでたサクラが、今回笑ってるカット多かったのが一番嬉しかった。
それと、久々にサクラの「赤ちゃん産まれま〜す!」を聞いた気がする。(この台詞、好きだ)
ついでに「赤ちゃん1分で出すよ〜!」も聞きたかった。(これも好き 笑)


出来れば3期も見たいけど…SPでも映画でもいいんだけど…
でも、無理だろうなぁ…あの終わり方では。

それに、
とてもキレイな終わり方だったから、この終わり方でも充分だよな
…って思うわ。
変に弄って(特にキャスト)無理やり続編作る位なら、このまま完結の方がまだ納得できる。



ということで
キャスト・スタッフの皆様、お疲れ様でした!
ありがとうございました!
…DVD−BOX、買います!3月28日発売ね!うん、覚えた!
シーズン1のと合わせて家宝にする!(大笑)

おまけレビューは後で。
今晩はまだまだリピート視聴します。(※珍しく明日はオフ!)
先日のコウノドリ #10 おまけ4

先日のコウノドリ #10 おまけ4

●二人で出した結論、でも…

高山夫「最初に出生前診断を受けた時、俺達には関係ない事って思ってた。けど、子供を持つって
     決めた時から、本当は関係ある事だったんだよな」
高山夫「透子…二人で出した結論だから。お前だけが背負う問題じゃないからな…?」


ようやく、こういう風に考えることができるようになった高山さんの夫。

「お前だけで背負うな、二人で決めたことだ」

そう、夫から告げられて、透子さんは確かに救われた部分もあるだろうけど
それでもお母さんは自分を責めてしまうものなんだろうね。
それ程、お母さんと赤ちゃんとの距離は、お父さんとのそれより、ずっとずっと近い。
だって 自分の中にいるもう一つの命 だからね
この近しさは、絶対、お父さんには理解できない



●母の想い その2

透子「この子、あたしの赤ちゃんなの…あたしの…赤ちゃん…」
透子「………産みたい…!」
透子「でも――怖い…!……自信がない……でも――!」
母親「透子…アンタ、産みたいんだね…?」
透子「…っ!
(泣きながら頷く)」
母親「…(透子を抱きしめて)…大丈夫…アンタがへばっても…母さんが一緒に育てる…!」
 
廊下から処置室へ入るまでの数m。透子の表情は真っ暗で、顔は今にも泣き叫びそうに引きつって歪んでて、足元は覚束ないし、足が竦んで足取りはガクガク・フラフラ。口元を戦慄かせながらよろめくように数歩歩いて――、戸口の直前で透子はついに頽れる。
咄嗟に駆け寄るサクラと、抱き留める小松さん達。
背後から歩み寄った母が、娘の肩を抱いて告げる
「一緒に育てよう。大丈夫、私がいるから」

…もし夫がこう言ってくれたなら透子はどんなに嬉しかっただろう
でも、きっと、この言葉を言うのは男には無理だ
少なくとも、この場面、この時点では、まだ
透子を生み、育てたお母さんの、今も「お母さん」である彼女だからこそ、この場で透子にそう言ってあげられた
そして、「お母さん」からの言葉だからこそ、透子は受け入れる事が出来た
…「お母さん」は強いね
娘さんの為にも、お孫さんの為にも、どうかお母さん、長生きして下さい
娘さんが、あなたと同じ言葉を微笑いながら言えるようになる時まで

産むのであれ、産まぬのであれ
この子は私の娘
娘の苦しむ姿は見たくない
――きっとこれも、いや、これが、お母さんのホントの想い


最後の最後、ギリギリの崖っぷちで一転、産む決断をした透子さん。
この結果が良いか悪いか、私にゃ解らんけれど
番組を見てる一視聴者の私としては、どこか救われた気持ちになれたのは事実です。
二つの小さな命が続けて消されるとこなんて、たとえドラマの中であっても見たくなかった。
…それによってサクラがまた苦しむとこもね。



●「小松さん…僕は――冷静でしたか…?」(by鴻鳥サクラ)

思えば、この一言に、今話のサクラの苦悩が全部こもってた気がする

己は、産科医として、常にフラットな立場でいなくてはならない
異なる意見のいずれにも、どちらにも、寄ってはいけない
為すべきは、善悪・正誤の判断ではなく
目の前にいる患者の望みに沿う事
ただ、目の前の命に寄り添う事
だから
感じた怒りも苦しみも迷いも、心の内に全て抑え込んで、決して患者に見せてはならない
決して自分の感情に飲み込まれてはならない


意志の力で抑え込んだ筈の内面の葛藤や感情の渦が、知らぬ間に表面に溢れてしまったことはなかったか
無意識に無自覚に溢れてしまった己の想いが、患者の選択に影響を与えるようなことはなかったか――誰か・何かを傷つけてしまったことはなかったか

サクラにしても、自信はなかっただろう
自分の姿は自分の眼では見えないからね

人は「周囲の人に投影された自分」を見ることで、己の姿を計るしかない
そういう意味で、人にとって、その家族、友人、仲間…そういった「周囲の人々」は己の姿を計るための『鏡』 だ
そして、サクラにとって、小松や四宮は、何よりも誰よりも信頼できる、良き 『鏡』 であるのだろう







本当に息苦しくて重かったけど、見応えのある一時間でした
見てて重いし辛いし苦しいんだけど、それでも何度でもまた観返さずにはいられない
滅多にない経験です (※マゾじゃないぞ)

制作陣が、痛い部分、苦しい部分を敢えて隠さずにきっちり描いていたところに好感。
重くて苦しい中でも、最後には、救いらしきものを見せて話を〆たところにも好感。
そして特に、異論・反論はあって当然という、話の作り方であったところに、最も好感。

…最近の、お手軽にお気軽に作った、お茶らけで視聴者ウケ重視な見やすくて簡便な番組が良とされる風潮に、真っ向から対抗して、ひたすら真面目に真摯にリアルに、テーマに真正面から取り組んで作ってくれたであろうスタッフに、原作ファンとして、ただ感謝

シーズン1,2通して、話のシリアス度は今回が多分一番頂点だったんだろうという気がします
此処までで既にもうお腹いっぱいという感じですけど、次回の最終回、最後の一時間十五分を、大切に、大切に、本当に大切に、視聴したいと思います。


…っていうか!



もう既に予告を見て泣いてるよ…っ!
サクラ・四宮・小松のハグシーンで
既に涙腺崩壊しちまったよ…っ!

(以降、予告見る度にこのシーンで泣いてしまうので涙腺の完全修復はほぼ不可能)

四宮「やろうと思えば、できるんだ」
小松「よし!あたしも一歩、踏み出そう!」
サクラ「僕達の目指す場所は、同じだ」

………うううう…駄目だ、やっぱ泣いてまう…(涙)

終わっちゃうの、寂しいよ…
先日のコウノドリ #10 おまけ3

先日のコウノドリ #10 おまけ3

●「命についての選択」 は 「苦しくて当たり前」 (by高山透子)

透子「見て欲しいの」
夫 「…もう決めたじゃないか」
透子「……あたし…まだ、迷ってる」
夫 「これ以上考えたって、苦しいだけだよ」
透子「…苦しくて、当たり前じゃない」
透子「父さんや母さんがこういったから、じゃなくて…、あたしたち夫婦で話し合って決めたいの
   どんな結論になってもいいから、二人で一緒に考えようよ」


カウンセリングでのサクラの言葉を正面から受け止めた透子。
帰宅した夫にダウン症について書かれた数冊の本を差し出す。
「これ以上考えても苦しいだけ」
と目をそらす夫に
「苦しいのは当たり前だ」と返す透子

「夫婦で話し合おう」「一緒に考えよう」
赤ちゃんの、お母さんとお父さんである自分達二人で一緒に、ってことだよね
一足先に、親としての自覚をしつつある透子さんが、夫にもそれを促してる

それは、一度は『家族』を持つと決めた者の持つべき責任
この苦しさを受けとめることは、親となる意味を自覚すること

 
●命を救う、って…? (by今橋孝之)

今橋「昔だったら救えなかった命が、医学の進歩で救えるようになった。それは喜んでいい事かなぁ
   と思う」
白川「はい」
今橋「だけど、命が救えるようになったからこそ苦悩する家族だっている…
   ……命を救う、って――どういうことなのかな…?」
白川「……」
今橋「…難しいね」


珍しくも、弱音らしきものを吐いた今橋先生
直接的には、NICUに子を預けたままろくに面会にも来ない両親を憂いての発言だけど
明代さんの中絶の事が今橋先生にも堪えてるんだろうなと思う。

医学の進歩は、たくさんの命を救ったけど、それでもすべての命は救えない。
そして、例え命は救えても、心までは救えない場合だってある。



●『負うた子に教えられた』今橋センセ…?

白川「NICUの卒業生やご家族の笑顔を見てると、俺も頑張んなきゃなって思います
   NICUを卒業することがゴールじゃない、その後に続く、赤ちゃんとご家族の人生に寄り添いた
   い……それが俺達の仕事の目標だ、って――」
白川「
…(今橋の顔を見て微笑って)…今橋先生が教えてくれました」
今橋「……ありがとう、白川先生」

 
完全に毒が抜けて、#8の頃とは別人のように真白くなった白川先生。「上を見ろ!上を!」とのたまっていた彼が嘘のよう(笑) それはとにかく。
彼のこの言葉で、今橋先生には救われた部分が必ずある筈。

サクラと下屋の師弟関係ってイイなぁと常々思うんだけど
この二人、今橋と白川の師弟関係も、また違った感じでイイなぁ、と改めて思った


●高処を目指す喜びと誇り

白川が面接を受けに来たのは、あの!講談医科大!…白川センセ、勇気あるな…
面接官の先生に志望動機を問われて、こう答える白川。

白川「自分の中の足りないものに気付いたからです」
白川「新生児科に尊敬する先生がいます。その先生の様な新生児科医になりたいと思ってきました
   その先生と同じになることが恩返しじゃない。また違う知識・技術を身に着けて、一つでも多くの
   命を救えるようになりたいんです。そのためなら、研修医からやり直すのでも構いません」
面接官「……『尊敬する先生』って、今橋先生の事でしょう?」
白川「
…(びっくり)…え?…はい…」
面接官「…
(苦笑気味に)…随分大きな目標だ」
白川「
…(ちょっと微笑って)…はい」

今橋センセの名って、他の病院にまで知られてるんだ…すごいね。然も在らんって気もするけど。
最後の白川の笑顔、すごく嬉しげだったなぁ
自分が尊敬する、目標とする人が、誰の眼から見ても素晴らしい人なんだって…赤の他人からもそう認められてるって…確かに嬉しいよね

外の人に指摘されて初めて気付く、師の偉大さ。
目標は遥かに遠く、遥かに高い。
だから誇らしい。だから、やりがいもある。だから、嬉しい。
そして、だからこそ、高処を目指す意味も意義もある。

白川センセ、頑張れ!


●小さな棺 

#5でも出てきた退院時のお見送りのシーン
#5の時も苦しかったけど、今回はそれとはまた異なる苦しさでした
#5の時は、哀しいけど暗くはなかった
けど、今回は、重くて哀しくて苦しくて、ひたすら真っ暗だ

明代さんが抱いていた小さな棺の、その小ささが、泣けるんだよ
その中にいるのは、本来ならまだ生きていた筈の命
その小さな命の未来を絶ち切ったのはサクラ自身の手

そのことを充分すぎるほど自覚しているサクラの心の痛みは、果たしていかばかりか、と


●僕は、あんなこと したくない

サクラ「…産科医として、避けられない事だからね…
   ご家族が幸せになるための選択だと……そう自分に言い聞かせてる…
   …でもさ…………僕は赤ちゃんが好きだから――!」
四宮「……ああ」

 
感情押し殺した、低く掠れた、聞き取り辛い小声の独白部分から転じて
「でもさ、僕は赤ちゃんが好きだから…」ってとこがさ…
少しだけトーンの高くなったサクラの声が、単なる 『声』 じゃなく、まるで 『悲鳴』 のように聞こえてね…
今にも泣きそうな表情でさ…目潤んでて、涙こぼすまいとして顔揚げて、視線を上に逃がしてるとことか…
もう辛い…サクラが本気で苦しげで痛々しくて

ここまでで充分以上にサクラに感情移入しちまってたもんで、余計に見てて辛かった
「産科医として」じゃない、「医師としての前提」を外した、人間・サクラの叫び、なんだよな
僕は、あんなこと したくない…! 
って。

直前のお見送りシーンで既に涙目、このシーン見てる時点でもう私ゃ、ボロ泣きに近かったです 
「僕は赤ちゃんが好きだから…!」でとどめ。もう、アカンかった…
ここ、予告で何度も見てその都度ジワジワ泣きそうになってたくせして、本編で見てもやっぱりここで泣いちまうんだね…ホント、俳優って魔術師だ…


●透子さんはもう、「お母さん」

シーン冒頭、夫に付き添われて病院に入る時の透子さんの様子がね、表情真っ暗で、目には絶望感めいた色すら漂ってて。足取りは重そうだし、なんだか…死刑台へ向かう罪人のようでさ。
それに、透子さんって、自分がそんな状態でも(というか、そういう状況だからこそ、か)、お腹にしっかり手を当てて、その中にいる赤ちゃんを護ろうとしてるんだよ…恐らくは無意識に。
見てるこちらまでグサグサ心に刺さった。痛々しくて。

カウンセリングルームでサクラと向き合う高山さん夫婦。
二人で充分考えた結果、やっぱり中絶する、とサクラに告げる。
正直、「ああ、やっぱりこちらもなのか…」と私まで暗い気分になったです。
見てるだけの私でさえこうなのだから、直接彼らと対峙している、そして辻さんに引き続いて連続で直接的な中絶の処置をせねばならなくなったサクラの気分は、もう――本音いえば、泣きたいのを通り越して、ホント、真っ暗なんだろうな、と…

最後に、透子さんは、胎児のエコー画像を見せてほしいとサクラに頼む。
やっぱり静かに微笑んで了解するサクラと、ギョッとした風に驚く夫。
そんな夫を見遣って、透子は静かに告げる。

透子「見たいの」
透子「今回は…諦めよう、次が…って、いうけど――、それは…(自分のお腹を見て、手で触れて)…
   この子には関係無いよ」
透子「…きちんと見よう? 私達の赤ちゃんだよ?」


苦しいモノはもう見たくない。今までだって充分苦しんだじゃないか、もう沢山だ…っていう夫の想いは、解る。解ってしまう。弱さだろうが逃げだろうがエゴ塗れだろうが、苦しいことは避けたいってのが当たり前の人情。
でもさ…
OA初見時、「今回は諦める」っていう夫の言葉の「今回は」のところで私、瞬間的に引っかかってしまってね。
「そんなの、お腹の中の赤ちゃんには関係ない。もし『次』があったとしても、その子は、今回死なせる赤ちゃんとは違う個体だ。今回の子を流してしまったら、その子とは二度と会えないんだぞ?同じ『赤ちゃん』でも、『次』と『今回』じゃ何もかもが違うのに!」
…と、まぁ、他人事ながら憤りのようなものを覚えたんだけど
そしたら、直後に、ちゃんと透子さんが同じことを夫に言ってくれました。透子さん、ありがとう。(私が礼を言う理由もないけど)

透子さんって、この時点でもう、「お母さん」なんだよね

最初にサクラの元へやって来た時から、数度にわたるサクラとのカウンセリングの度
透子さんの凝っていた心が解れて、それと比例するように、お母さんとしての自覚が出来ていくのが見ていて判る
前シリーズの#5で、今橋先生が言ってた
「お腹の中の命が、妊婦を『母』として育てていく」
って、こういうことなんだよね。
そしてその「母の自覚」を促したのが、医師として真摯に対峙していたサクラの言葉なんだろう。



●わからないことについて、「わからない」と正直に答えるのは勇気
 迷ってる時、「迷ってる」と正直に告げることも勇気

中絶を選んだ高山さんが、最後に赤ちゃんを抱きたいと希望している、というサクラの言葉を聞いて、驚き、そして多分、戸惑いや怒りのようなものを覚えたのであろう吾郎先生。
即ち
自分で中絶すると決めておいて、最後にその赤ちゃんを抱きたいだなんて、矛盾してる、身勝手だ、我が儘じゃないか!
…そんな吾郎の想いは、↑で書いた サクラの「ならば、何故?」 と多分同じ。

吾郎の疑問(あるいは憤り)は、多分、視聴者の多くが抱くものだろう。合同カンファレンスに集まった医師たちの中で、多分、一番視聴者に近い位置にいるのは、研修医(正式な医師になるため勉強中)である吾郎。「医師であって医師でない」彼しか抱けなかった、というか、彼しか表に出せなかった疑問かもしれないね。
他の医師たちは、本音ではそう感じていても、表には出さなかった(出せなかった)だろう。それこそ、「プロの」医師であるが故に。
きっとこれは、「医師」だからこそ抑え込んで隠すのが当然の疑問なんだろう。四宮だって、疑問を口にした吾郎に呆れていた。
でも、サクラは(サクラの弟子である下屋も)、疑問を抱く吾郎を咎めない。
「疑問があるならちゃんと聞いた方が良い」「いいよ、続けて」
と二人は吾郎に先を促す。

吾郎「僕は、考えてしまうんです。出生前診断も…どうして 『命の選別』 をするんだろう、って」
   このまま出生前診断がメジャーになっていって、それ
(検査を受ける事)が当たり前になった
   時、医師としてどう向き合えばいいんでしょうか」
サクラ「…吾郎先生……その質問の答えは、僕にはわからない」


息をのむ吾郎に、サクラは静かに自らの想いを語りはじめる 

↓ 

●命についてのすべてのこと

『命は尊い』
『赤ちゃんが生まれてくることは奇跡だ』
『平等である筈の命を選別してはいけない』
…その通りだ
けど――僕はずっと、迷ってる
 
『命の選別』
その言葉にみんなが囚われてしまっていて
お母さん、お父さん、家族…その事情には目が向けられていない

それぞれの事情の上に命は生まれてくる
育てていくのは家族なんだ

出生前診断を受けた結果、中絶を選択する家族もある
……心が重くなる…いつまでも慣れることはない…

けど…
悩みに悩んだ上でその選択をして、僕達に助けを求めてる
その手を払いのける事は出来ない…!
 
中絶を決めたお母さんが、赤ちゃんを最後に抱きたいと願う
確かに矛盾してるかもしれない。だけど…!
その葛藤に、僕達が寄り添わないで、誰が寄り添う…!?

検査を受けた人・受けなかった人、赤ちゃんを産んだ人・産まなかった人
どの選択も間違ってない
………いや――
『間違ってなかった』と思えるように
産科医として、家族と一緒に命と向き合っていく…

――それが、僕に……僕達に出来る事なんだと

そう信じて、僕は此処にいる


「間違ってない」 から 「間違ってなかったと思えるように〜」 までの間が、サクラのホントの心なんだろう
サクラにも迷いや逡巡もある、苦悩も葛藤もある、勿論優しさもあるけど、それと同等の哀しみもある。それ以上の怒りも。
でも
例えば、患者の望みがサクラ自身の望みとは異なっていたとしても
それでも、と。
自分で自分に言い聞かせるように
自分自身を自分で納得させるように
自分の心の内の乱れを自分自身の言葉で整理するように
揺れて荒れて爆発しそうな自分自身の中の嵐を自分自身で治めるように
 
ああ、サクラがここにいる…って思いながら、観てました
綾野剛さんの中にサクラが生きている…って思って、泣きながら見てました
表情や息遣いは勿論、語る単語の一つ一つ、それだけじゃない、それこそ、行間の『間』にまで
最初から最後まで、全てに神経通ってた。想いがこもってた。魂こもってた。
綾野剛さんに感謝。熱演に感謝。その努力と思い入れに感謝。
 
本当に、綾野さんって、『鴻鳥サクラ』 を生きてる んだなぁ…


●命の話

静かに熱く医師としての想いを語ったサクラ。聞き入っていた周囲は、サクラが語り終えても打たれたような静寂のまま。
我に返ったサクラが、今橋の方を見、どこか居た堪れないような、落ち着きのない様子で詫びる。

サクラ「…もう、カンファレンスの時間ですよね? すいません、関係ない話をして…」
四宮「関係なくない」
四宮「…必要な話だろう?」
今橋
「(頷いて)…命の話 です」

この時サクラが何処かはにかんで見えたのは、大勢の前で「自分語り」をしてしまった己の「熱さ」や「幼さ」を恥じたのかもしれないし
今橋がサクラの顔を見なかった(見られなかった)のは、座のトップ(会議の司会)としてその場にいる全員に等分に告げる為、というのもあるだろうけど、何より、自分より若いサクラの「熱さ」や「純粋さ」が眩しかったからかもしれない
だからこそ、サクラの眼を真っ直ぐ見てこう言い切った四宮が、いいなぁと思う。サクラのこういった「熱さ」や「若さ(幼さ)」や「純粋さ」を全部ひっくるめて真っ直ぐに受け留め、称えてた。
何があっても家族と一緒に命に寄り添うと告げるサクラに、多分この座で今一番寄り添ってあげていたのは、四宮だ。 

その後、サクラの言葉を黙って噛みしめる小松・下屋・四宮・白川・今橋、それぞれの様子と表情が挟まれたのも良かった。
言葉って、それを発する人の想いの欠片だから。だから、聞いた者の心を揺らす(こともある)。良い言葉でも悪い言葉でも。そして、良い意味でも、悪い意味でも。
特に今回のサクラの言葉は魂の欠片だ。そういう言葉って、聞く人の胸に響く。心に刺さる。聴き手の魂まで強く揺さぶるんだよ






その4へ続く
先日のコウノドリ #10 おまけ2

先日のコウノドリ #10 おまけ2

●どこまでが 「人」 に許されるのか

木村「でもさぁ、検査で分かるのは一部の染色体の疾患だけじゃない?
   何で出生前診断で分かるこの子達だけが弾かれるの?
   このまま、生まれる前に検査することが当たり前になって……どんどん…、ダウン症のある
   子、いなくなっちゃうんじゃないかなぁ、って…」


前シリーズの最終話ラストで、サクラは言った
「僕は、生まれてくる命に意味の無いものなんてない、と 信じている」  って。
いみじくも、あの時の話も新型出生前診断がテーマの一つだった。今回に比べたらほんの触り、ずっと軽く浅い捉え方のお話構成だったけど。
 
「ダウン症」の子がいなくなる――いいことだ、ありがたい、良かった、と思う人だっていると思う。少なくとも、それに因って辛い思いをする人は減るだろう。苦労する人も減るだろう。思い煩う人だって減るんだろう、多分。
でも引っかかる人だって多い筈。私だって引っかかる。
だって、今現在生きてるダウン症の子・ダウン症の人々はどうなる?いずれ消えていく病を負った人々として区別されてしまうのか?
では、その家族は?彼らの想いは?一緒に区別され、いずれ失くしてしまってよいモノなのか?
それになにより、ダウン症だからって、お腹の中に宿った時点で消されてしまった命は、どうなる?そういう命に、生まれてくる意味はないのか?
そして、私が一番怖いと思うのは、「それが当然」という時代になってしまった時。
全ての人が、命の選別をすることに罪悪感どころか、迷いも逡巡も躊躇いすらも感じなくなってしまった時、
果たして人は、「人」と言えるのか? 
結果のみを見、その過程で他の命を切り捨てることに何の罪悪感も感じない
そんな人間…ロボットとどこがどう違うんだ
 
優れたものは生き残り、劣ったもの・瑕疵あるものが淘汰されて消えていく。
それは確かに世界の常で自然の摂理なのかもしれないけど。
確かに、人の智によって、いずれ全て異常は治癒され、病気は消えていくかもしれないけれど。
でも、それが純粋に「医療の進歩だけ」に因る結果であるなら、ここまでの逡巡は誰にもない。
其処に「人の手」が介在してしまうから、迷いや躊躇い、逡巡がおこる。

人の手によって、健康な命のみを残し、病気の命を消すこと。
これは結局、人の意志の下に、人の命を抹殺する、という行為だ。
決して自然淘汰によるものではない。殺人と何も変わらない。
…そう思ってしまう人も、確かにいるだろう。

どちらが正しいのか正しくないのか。どこが間違っているのか、それともいないのか
それは誰にも分からない
正誤を決める権利は、誰にもない



●親にとっては、どちらも同じ我が子 なんだけどね…

辻妻「私たちがいなくなった後、愛梨(長女)に全部任せるなんて出来ないよ」
辻夫「そうだな……そうだよな…」

何故中絶を選んだのか、医師たちに対しては主に経済的な理由を挙げた辻さん夫婦。
その中で夫がサラリと告げた「ウチにはもう一人上に娘がいるので」の意味が、中絶を選ばざるを得ないもう一つの重大な理由が此処に在る 

辻さん夫婦はおそらく40代半ば。もしダウン症を患っているお腹の子を産むとすれば、その子が成人するころ、辻さん夫婦は60代半ば過ぎ。夫婦が平均寿命まで生きたとしても、ダウン症の我が子はまだまだ60前後。
どんなに親が長命であったとしても、子の最期をちゃんと看取ってやれるかどうか、わからない。
親はいずれ、子を残して死ぬ。
そしてその後を背負うのはその子の肉親。つまり、きょうだい。
親亡き後、ダウン症の弟(もしくは妹)に関するすべての責任は、血の繋がった身内である長女にかかってくるのだから

自分達の亡き後、愛梨(娘)に苦労させたくない
いくらきょうだいだからって、娘一人に負担は掛けられない

そんな明代さんの想いは、
「アンタが苦労するところを見たくない」
と言って娘に中絶を勧めた透子さんのお母さんの想いとも重なる
だから、単純に中絶=悪とは決められない。

母にとっては、どちらも同じ我が子。でも……。

『命の選別』は、こんなところでも起こっている



「(検査を)受けない権利、ね…」 (by小松)

小松「何で (出生前診断を) 受けなかったの?」
武田「悩むのが、怖いから…?」
小松「……」
武田「どんな子供でも受けいれる!自分の子供なんだから!
   …口で言うのは簡単なんだけどね…」


一概には言えないけれど
望みや願いを「権利」と決め定めてしまうと、大抵の場合、事態は余計に複雑化する
「権利」には「義務」が伴うってことを、認識していない人があまりにも多いから
…ま、その辺はとりあえず置いといて

医療従事者(助産師)である武田さんをして
「怖い程に悩む」「口で言うのは簡単だけど…」
と言わしめる。
これは、それ程に、結論を出すのが難しい問題なのだ、という事。

妊婦に寄り添う助産師ですら、自分自身がそういう立場にならなければ当事者としての苦悩や悩みは解らない。
人は所詮、自らが直接体験しなければ何事も、ホントの処なんて認識も理解もできない。
他者の立場に共感することは、それ程に難しい。
…命に寄り添うってことは、それ程に難しい。


●そう、寄り添うの。大切なわたし達の仕事だよ? (by武田)

「お母さんに寄り添うのが一番重要な自分達の仕事」
助産師・武田さんは、小松に対し、堂々とそう言ってのける。
でも、応じる小松は、どこか迷ってる風。

「患者に寄り添う」
それは、サクラも、普段の小松自身も、口癖のように言う言葉だ
でも、それが今の小松には難しい
辻さん夫婦と高山さん夫婦、彼らの選択を見守ってる立場の、今の小松には

それは、当の小松自身も、中絶を選ぶ夫婦に対して、モノ申したい気分があるから、なんだろう


●「大丈夫」は、「大丈夫じゃない」

サクラ「ただ、人工死産は体への負担だけでなく、お母さんの心にも負担がかかります」
明代「私のことは…いいんです…私は、大丈夫…」


最終的に、やはり中絶すると決断した辻さん夫婦。
流産(人口死産)の処置の説明中、サクラに心身を気遣われるも、「大丈夫」と気丈に答える明代さん
心身の苦痛を、罰せられることを、当然の報いだからと敢えて受け入れようとしてる風に見えた
自分の都合で切り捨てる命に、詫びることすら出来ないんだから、痛みぐらい…って

こういう場合、本人も辛いが、見てる方も辛い


●輪島塗の臍帯箱

小松「キレイな箱。何が入ってるの?お菓子なら一つちょうだい」
四宮「へその緒です」
小松「Oh!食ーベラーレナーイ!


#10唯一の和みポイントだったココ。小松さん、何故にエセ外人風?(笑)

にしても、輪島塗とはね!
私のは普通の桐箱だった記憶があるけど(一般的にもそうじゃないかと思うんだけど)、
石川県では輪島塗の箱が当たり前なの?
イイなぁ、その土地独自の特色あって。


●へその緒は「お守り」

小松「お父さんの気持ちだね。しのりんを護ってくれますように、って」


妹が持ってきた四宮のへその緒。四宮に渡すよう、妹に託したのは父。

親としての最期の願い、だね

渡そうとした時点で父は死期を悟ってたろうし、受け取った時点で息子もそれに気付いて覚悟しただろう。
なのに、四宮がどこか落ち着いて見えるのは、前話で既に別れは済ませているから、かな…
だからって、辛くないわけではない。苦しくないわけないし、哀しくないわけもないが。

そういや、前シリーズの#2では、同じ小松さんが
「へその緒」はお母さんの勲章だ、って言ってたなぁ…


●「後悔のない選択」は ない (by鴻鳥サクラ)

透子さんとサクラ・今橋とのカウンセリング。横に夫がいないせいか、今回の透子さんは前回に比べて受け答えがしっかりしてる。透子さん曰く、夫は、堕ろせと言う義父義母の言いなりらしい。然も在らんや…
透子さん自身は、産む、という事について完全忌避はしてない。ただ自信がないのだ、と。
実は不妊治療の末に今回の子を授かった高山さん。ああ、それじゃあ余計に辛かろうなぁ…産むにしろ産まぬにしろ…

サクラ「どんな選択をしても後悔することはあるんだと思います
    その後悔を減らすには、しっかり悩んで決断して、その決断の中で赤ちゃんに何をしてあげら
    れるかを考える事です」
サクラ「お二人で向き合って、『ご家族の答え』 を見つけてください」



選ぶことは、捨てること だ
そして、「後悔」ってのは、切り捨てた筈のものへの未練と執着だからね
だから、捨てたものへの愛情が深ければ深い程、その後悔も深い

どちらを選んでも後悔するのなら、出来るだけ後悔の量が少ない方を選んでほしい
そのためにも、ちゃんと現実に向き合ってほしい
外野から無責任に私見を言うだけの「他人」の意見じゃない、赤ちゃんの「お母さん」と「お父さん」としての、「家族の答え」を見つけてほしい
それが、もしかしたら、今お腹の中にいる赤ちゃんへの最後の贈り物になるかもしれないんだから



●ならば、何故? 

明代「先生」
サクラ「はい」
明代「…一つ、お願い……最後…この子、抱いても良いですか…?」
サクラ「………
(微笑んで)…わかりました」

「解りました」までの僅かな「間」がサクラの中での「揺れ」なんだな、と思った
明代の望みを聞いて、当然と納得し、望みを叶えてあげたいと思うと同時に
「なら何故…!」 って
心の片隅で、サクラはきっとそう思っただろう

でも、やっぱり辛いよね。辛いに決まってる
だって、自分の子だよ?へその緒通して今も自分と繋がってる、自分の体の中にいる、自分の分身とも言える存在。それを自分自身の意志でその片割れの命を絶つっていうんだもの、自分の半身切り捨てるようなもんだ。
苦しいよ。痛いよ。痛いに決まってる。心が。
だって、例え自己都合で命を切り捨てたんであっても、決して望んでそうしたわけじゃない
サクラは明代のこの痛みもちゃんと解ってる

どちらの気持ちも明代にとっては真実で、そこに嘘はない
そして、サクラはその事を十分すぎるほど理解してる
だから、揺れる。明代さんも、サクラも


●鎮魂歌 

明代さんの赤ちゃんの「処置」を終えた後、深夜のブルース・アレイにやって来たサクラ。
閉店後の人気のないステージで、サクラは独り、静かにピアノの前に座る

椅子に座る前、立ったままピアノを見つめてるサクラの頬や喉元が、嗚咽を堪えるように小さく何度も動いてるとことか見て、その時点で既に私ゃ、泣きかけていたんだけど 
この後サクラが弾いた曲が 『BABY、God Bless You (※別アレンジ)』 だとか
曲の冒頭のラ音連打の連続するパートって、確か 『赤ちゃんの鼓動』 のイメージだった筈…とか
見てる(聴いてる)内に色々気付いて、で
ああ、今のサクラは、せっかく生まれてきたのにこの先生きていく事が許されなかった明代さんの赤ちゃんの為に弾いてるんだな、って解ったら…
本気で泣けました…(号泣)

多分、サクラが常に言う、「寄り添いたい」「相手」って、まずは「妊婦さん」=「お母さん」なんだろうけど
サクラ的にそれと同じくらいの重要度で全力で寄り添ってあげたいと願ってるのは
誰に何をされても反論も反抗も抵抗すらも出来ない、その手段も能力も意志だってまだない、ただ無力で、ひたすら小さく稚く、それ故に愛おしくて護りたくてたまらない、
お母さんのお腹の中にいる「命」=「赤ちゃん」、なんだろうなと思う

だから余計に今回のサクラは辛い。余計に苦しい。切ないし、遣る瀬無い。無力感があり、怒りがある。
二つの命のどちらかに寄り添おうと手を伸ばすと、もう片方の命へ伸ばした手を離さなきゃならない
「お母さん」も「赤ちゃん」も救いたい、というのが、産科医を志した子供の頃からのサクラの願いなのに
両方の命に等分に同等に寄り添いたいのに
今のサクラにはその力がない


●鎮魂歌 その2

明代「抱っこ、させてもらったんです。すごく小さくて……でも……温かかった…!」


サクラは明代の望みを叶える。
死産の我が子を抱くことができた母に最後に残されたのは、小さな命の温もりだけ
泣き崩れる明代さんと、肩を抱く小松さん。
前のシーンに被る形で続くこのシーン。
失われた小さな命の重さといずれ消えていくだけの温もりの記憶
BGMのサクラの奏でるピアノが哀しい

…アカン、今回涙が止まるきっかけがない…どのシーン見ても泣いてまう…(涙)
 






その3へ続く
先日のコウノドリ#10 おまけ1

先日のコウノドリ#10 おまけ1

初回OA以降毎日見返してるんですが

#6が下屋、#7が小松、#8が白川、#9が四宮(エピソードはいまでも小出しに引っ張ってるけど)の回で

この #10 は やっぱり、サクラの回 だったんだよなぁ

と改めて思いました

…どうしても辻さん夫婦と、高山さん夫婦の決断の行方に目が行きがちだけどね。
でも、見えてない部分でも、ベースにサクラの想いが常にある。



書いてる内に、アレもこれもとなってしまって、全部書いてると到底ブログの長さでは足りないからと、大分切り捨てたんですが
とにかく、最終回前に上げられてよかった
これで安心して#11を見届けられます


ということで、これまで以上に真面目に
主にサクラ視点で おまけ感想 
(※おまけが本文)

【#10 特に 「…!!」 と来たシーン】



●郵送で送られてくる検査結果

年齢制限も無視、問診票だってごく簡単なもので、検査前・検査後の詳しい説明もカウンセリングも無し。医院側がやるのはただ、血液検査と検査結果の送付だけ。事後に問い合わせても別の病院へ行け…って。
ドラマだから、の演出じゃなくて、ホントにこんなクリニックがあるんですね…。で、其処に検査を受けに行っちゃう妊婦さんが現実にたくさんいる。
いみじくもこの高山夫が言ったように、検査結果を郵送してくれるなんて親切だ…なんて理由で。

そりゃ、通常なら、お手軽で気軽でお手頃なこうしたモノは便利で結構なんだろうけどね
…何の問題もなく終わればね…

直前まで、子供部屋云々で赤ちゃんできて幸せいっぱいの若夫婦の日常が映し出されていただけに、検査結果を見た夫婦の驚愕・恐怖の様との落差が痛々しい


●「僕達は、どんな結論になっても高山さんの決断を支えていきます」(by鴻鳥サクラ)

送りつけられた検査結果を手に、混乱状態のまま、サクラのもとを訪れた高山さん夫婦。
サクラは彼らに、検査の内容、その結果の意味、それから今後について、穏やかな口調で丁寧に説明する。
検査結果の的中率は90%、確定させるには羊水検査をせねばばらない事、そして結果が出た後の選択(胎児に疾患があった場合、中絶をするかしないか)について。

サクラの説明に、前のめりの夫と、戸惑ったままの妻。
医師(サクラ)に質問するのも応答するのも夫、対して、高山さん(妊婦さん)は暗い表情で終始無言。
一方、話す時も、聞く時も、サクラはほとんどずっと高山さんを見つめてる。夫側の質問に答える時には夫を見るが、その後はしっかりお母さんの顔を覗き込んで、その眼をじっと見つめて、一語一語区切りながらゆっくり静かに語りかけてる。
今回に限らず、どの回を見ても、サクラって、いつもこうしてお母さん(妊婦さん)の表情をよーく見てるよね。
ま、お母さんに限らず、周りの人々皆の表情や様子をよく見てて、変化や異常に実に良く気付く人だけども。

今回の場合、まず第一に高山さんの表情の暗さや反応の薄さが心配で、その心身を気遣っているのだろうけど、
何よりも、まずは「お母さん」に寄り添ってあげたい、っていうサクラの想いがよく解る。

これが普段なら、ごく普通の、何の問題ない妊娠・出産の場合なら
お母さんに寄り添う事とお母さんのおなかの中にいる命(赤ちゃん)に寄り添う事はほぼ完全にイコールで繋がるんだけど、どうやら今回は状況が異なる。
サクラにとってはそれが辛いだろう。

両方か、あるいは、どちらか一方か。
選ぶ権利は家族にあって、サクラにはない。
彼に出来るのは、家族の決断に寄り添う事だけ。

 

●祈るしかないな… (by高山夫)

病院を出る高山夫婦。ショックで呆然としたままの妻を抱きかかえるように歩きながら夫は言う

高山夫「まさかこんなことになるなんて」
高山夫「…まだ結論が出たわけじゃない…祈るしかないな…」


高山夫の気持ち、解りすぎるほど解ってしまう。私だって同じ立場ならそう思って神様に祈るだろうし
と同時にやっぱり引っかかる
「ダウン症」はいけないモノ。だから、そうでなければ良い。今は祈るしかない。
それが多分本音だけど、そうなるのも仕方がないけれど、でも、と。
でも、赤ちゃんは悪くないんだよ?って。



●医師たちの会話 その1

四宮「しかし、きちんとした医療カウンセリングも行わず出生前診断を行う医療機関がある事は問題
   です」
小松「時間を割かれるのが煩わしい、予約も簡単に取れるし、年齢制限も無かったりする」
四宮「検査して出た結果だけを伝えて、後の判断は患者に丸投げするなんて…」
高尾「結果だけ聞かされて放り出されたら、パニックになるのも、仕方ないですよね…」


高山さん夫婦が来院した時の状況を知った医師たちの会話。
こういった会話ってのは、医療情報に疎かったり詳しくない視聴者のための状況説明も兼ねてるから、台詞が多少説明的になるのは仕方がない。私的にはむしろ、アバンタイトル以降の問題部分の内容が整理されててありがたかったけど

とはいえ、このシーンでは、話してるのは産科の男性医師(+助産師)たちだけで、アンチテーゼ的な、異論や反論、立場・性別の異なる人間からの反対意見がないからな…議論というよりはまだ会話、むしろ、ここまでの物語で妊婦さん(高山さん夫婦)が置かれてる状況の説明(主に視聴者への)、に近い。どうしてこの夫婦はこんなことになってしまったのか、現実ではどんなことが起きてるのか、っていう。

私的に気になったのはこの会話内容もさることながら、シーン冒頭と末尾に小松に対して「はい」と言っただけであとは無言で考え込んでたサクラの強張った表情。

…怒ってる。表情静かだし、無言だけど、確実に怒ってる…目が思いっきり冷えてる…絶対怒ってるよ…

多分、ため息交じりの高尾や苛立った様子で吐き捨てる四宮よりずっと、サクラの本当の怒りは静かで深い


●命を切り捨てざるを得ない、その理由

高山さん夫婦に続いてサクラが対応するのは、偶然にもこちらも出生前診断後のカウンセリングを受ける辻さん夫婦。ダウン症の確定診断を受けて、彼らは、中絶を選択。

家庭事情について話し始めた辺りから、タメ口になる明代さんに、観てて「え?」ってなったんだけど、ややあってから、ああ、なるほど、そうか、と納得。
タメ口突入=ここから中絶の理由について、本心の部分を吐き出し始めますよ、って事なのね。



●壮真クンと遊ぶ白川先生

どうやら昼食を調達に出たらしい今橋先生・白川先生。ロビーで偶然出会ったのは元患者の木村さん親子。
木村さんの二男・壮真クンはダウン症児で、当時の担当医は今橋先生。
お母さんと今橋先生が話してる間、壮真クンと遊んであげる白川先生が優しい。っつか、なんか、多分これ、アドリブでしょ?坂口さんがイイな。すごく自然。

にしても、ホントのダウン症児がダウン症児の役でドラマに出演するとはねぇ…
良く出演の了解が取れたなぁ…いくらリアリズム重視とはいえ…
そういう意味でも、スゴイね、このドラマ。
もう、二度とないんだろうなぁ、ここまでやる、ここまで出来る医療ドラマなんて
ある意味、奇跡だね。
奇跡に出会えてよかった。



●「痛くないように刺しますね」 (by鴻鳥サクラ)

羊水検査を受けることにした高山透子さん。…っつか
羊水検査って、羊水穿刺でしょ? 要は、針を刺すんだよね?それも結構ぶっとい針を。身体の外から子宮の中にまで。
「痛くないように」刺す なんて、出来るの??麻酔???(※未経験なので全く分かりません)
という感じだったのだけど、ふと
赤ちゃんが 痛くないように刺しますから」 という意味でもあるのか
と思いついて、瞬間即行で納得した
…サクラならそういうニュアンスでも言いそうな気がする


●医師たちの会話 その2

四宮「まぁ…、羊水検査を受けに来ただけでも良かったな」
小松「NIPTの結果だけ見て、次の検査は受けずに中絶って決めてしまう人もいるもんね」
四宮「たった10ccの血を採って検査すればいいって言う気楽さが、そういう親を生んでるんですよ」
倉橋「それはどうでしょう。
   私は新型出生前診断が生まれたこと、いい面もあると思います。
   出生前診断に罪悪感、嫌悪感を抱く人が多いですけど、
   親になる前に我が子の情報を集めるのは、悪いことなんでしょうか?」
四宮「きれいごと言うなよ。
   子供に疾患があると分かったら、中絶を選択する親がほとんどだろ」
倉橋「出生前診断を受けて選択する中絶について、どうしてそこまで批判的な人が多いんですかね」
小松「まぁね。中絶する理由も人それぞれだからね。
   中学生や高校生には、若気の至りとか経済的に難しいっていう理由で中絶を勧める人もいる
   からね」
向井「性教育、全然アップデートされてないですからね。避妊についてとか。もっと踏み込んで知ら
   せていかないと。
   それに性暴力などによる予期せぬ妊娠もあります。そういう人達にとっては、必要な事だと 
   思います」
倉橋「もっと生まれてくる我が子の情報を知る権利について、理解してほしいです」
四宮「赤ちゃんの情報を親が知る権利があるのは、勿論分かってる。
   だが、その情報を知ったあとで、どうするかを決めずに出生前診断を行うのは無責任だろ?」
向井「そうですね。赤ちゃんがおいてきぼりにならないように、夫婦できちんと話し合ってほしいです」



結局全部の台詞拾ってしまったよ…誰の台詞のどんな単語も捨てられんかった

四宮の現状批判とそれに対する倉崎の反論で初めてここでディベートっぽい形になりました。
医師達3人(サクラ、四宮、倉崎)の中で、ただ一人倉崎だけが女性で既婚、しかもお母さん。検査を受ける側の気持ちを代弁できるとすれば彼女だろう。
助産師・小松さんは、常に真ん中・フラットなポジションに立てる人だけど、今回の場合それをキープしてる…というか中間地点を意識的にキープしようとしてる感じ。小松さんは女だけど未婚、そして「お母さん」にはなることができない人。少なくとも出産はもう出来ない身体の持ち主。
この5人の中で、向井の台詞内容だけが若干浮いて聞こえるのは、彼女って他の4人とは立ち位置がだいぶ異なるから。向井も一応医療関係者とはいえ、彼女はサクラたちとは違って直接的な医療行為は行わない医療ソーシャルワーカー。向井も女で母親だけど、彼女はあくまでソーシャルワーカーとしての視点で意見を述べてる。だから見方が他の4人より広いけどその分浅い。浅いとは、別に悪い意味じゃなく、つまり、浅い分、サクラのような懊悩や深みに彼女は嵌らない。職業柄コレも重要なこと。


【議論の要旨】
「新型出生前診断にはいい面もある。親になる前に我が子の情報を集めるのは、決して悪いことじゃない」
「悪いとは言ってない。情報を得た後どうするか、事前にちゃんと決めずに検査を受けるのは無責任だ、って言ってるんだ」

こんな感じか。

結局、親の「親になる覚悟」や「持つべき責任」について、医師たちは議論してるんだよなぁ、ということが分かる。

私的に一番刺さったのはやっぱり、一言も言葉を発することなく黙って考え込んでるサクラの表情
医師たちの台詞の途中途中に挟み込まれるサクラの表情は、それぞれ少しずつ異なるけど、総じて重く、深く、強張ってて、やっぱり――怒りの色が濃い
っつか、はっきりきっぱり、怒ってる…怒ってるよね…「医師たちの会話〜その1」 の時のサクラより、ずっと激しく深く静かに怒ってる…目が、冷える通り越して凍ってる…只無言の後ろ姿だけでも怒ってるのが判る…

では、サクラの感じてる「怒り」って、何の怒りなのか?

色々あるだろうけど、やっぱり根本は、お母さんに寄り添うだけしか結局は出来ない(出来ていない)自分自身への怒り、だろうか…無力な自分自身への苛立ちなんだろうか

ついでに言うと
このシーンでのサクラの 『無言』 が、終盤のカンファレンスのシーンでのサクラの 『雄弁』 を際立たせてるんだよね
この部分一つとっても、演出・脚本が、凄く上手いなぁと思った


●母の想い

透子母「でもね…この子は諦めた方が良い」
透子 「…なんで…?」
透子母「透子が苦労するところ、見たくない」


高山さん夫婦の羊水検査の結果はやはり、ダウン症。
結果を受けて、高山夫婦宅に夫側両親と妻側両親が集まって家族会議。…というか、コレはもう一族会議だな。やっぱりこうなっちゃうのかぁ…こんなのあるのは今じゃウチみたいなド田舎だけだと思ってたんだけど。

産まない方が良いという夫側の両親。透子さんは俯いたまま何も答えられない
娘のそんな様子を見た透子さんの母は、透子さんと二人だけにしてもらったうえで透子さんと向き合う

透子さんを育てた自分の苦労話と同時に母として味わった喜びをぽつぽつと娘に語る母。
でも、最後はやはり「諦めた方が良い」との言葉。

これがやっぱり母の本音、なのだろうか。
先々苦労するのが判ってる、から?
苦労する娘の姿を見たくない、から?
…これもまた、母の想いだろうけど

それとも…?
と思ってしまうのは、ラストまで観終えた人間だからかもしれないし、赤ちゃんと透子さんを何とかしてあげてよ〜と願う心故かもしれないし。

ただ、
言い終えて最後に視線を逸らせたあたりに、母の、母親として・お母さんとして・人としての逡巡がある
我が子可愛さで別の命を切り捨てる、そのうしろめたさ。しかもその切り捨てる命は自分自身の孫。

ここでも 『命の選別』 が起きている







その2へ続く
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